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「十八史略」に学ぶ兵法経営【目次】

1.賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ
  「十八史略」に学ぶ意味

歴史を読み解けば次の手が見える


歴史の価値は
十分にご理解いただけたことと思う。

よく考えてみれば、
私が存じ上げている経営者には
歴史好きの方が多い。

あれこれと歴史小説を読んだり、
時代劇を見たりしては歴史ロマンを
楽しんでおられるようだ。

では、そこから教訓をつかみ出し、
企業経営に活用しておられるだろうか。

残念ながら、
そのような方にはほとんど出会わない。
単なる趣味の世界に留まっている場合が
非常に多いのである。

なぜならば、歴史の中に隠されている
公式のようなものは、こちらが積極的に
探しにいかないと見つからないように
できているからである。

第一、歴史を書き残した多くの筆者は、
そこに「ある立場」から描いた事実を
書き連ね、それに自分の意見感想を
ほんの少し加えただけのケースが
ほとんどだ。

「ある立場」というのは、
権力を持っているものの視点であることが
多い。権力者を批判した記述では
殺されかねないからだ。

実際に南北朝時代の北魏(ほくぎ)では、
天子の命によって国史編集の責任者と
なった崔浩(さいこう)という者が、
王家の先祖の蛮行の詳細を事実の通り石に
刻み付けて街のあちこちに建てたところ、
国の恥を宣伝しようとしていると
鮮卑(せんぴ)族の者たちに非難され、
天子の怒りを買い、
一族皆殺しとなっている。

現代においても日本、中国、韓国などの
間で、特に明治期以来の歴史の溝が
埋まっていないのは、それぞれの立場で
事実が異なってくることを示している。

歴史を学ぶ場合は、どの立場から
書いているのかを見極めないと、
誤った歴史観を持ってしまいかねない。

歴史小説や時代劇などにおいては、
さらに作者の空想や、勝手な思い込みが
入り込んでいるので、
あくまでも「物語」と
認識しておいた方がよい。

歴史にはそのような態度で接しながら、
なるべく事実を客観的につかむようにし、
そのうえで学ぶべき法則を積極的に
つかみにいくことだ。

そこまでやらないと、
現代の私たちが歴史を教材として
活用することはできないのである。

また、成功者の成功理由ばかりでなく、
失敗者の失敗理由もしっかりと押さえておく
必要がある。

私たちが人生を歩んでいくにあたって
重要なのは、成功することよりもむしろ、

致命的な失敗を犯さないこと

のである。

時折、ニュースなどで、
功成り名遂げた人物が晩節を汚す事件を
犯したことを報じているのを耳にするが、
その人自身はもちろん、家族や知人なども
非常に残念な思いをされているのでは
ないかと思う。

企業経営者の方の多くは、
特にそのような立場にある。

これはもちろん、失敗しないように
何もしない人生を送った方がよい、
ということではない。

先に書いたように、
それこそ大失敗の人生である。

そうではなく、積極的に死ぬまで
チャレンジ精神あふれる人生を送りながら、
しかも致命的な失敗を犯さないように
していただきたいのである。

歴史をきちんと読み解いていけば
法則をつかむことができ、
その法則に従って手を打てば、
成功に近づき、失敗から離れられるのだ。

次章以降、詳しく解説していくので、
ぜひ参考にしていただきたい。

→続く 2.人間の本質と欲望編(基本)
「人間の本能とはいかなるものか、放っておくと何をする生き物か

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