ここまで、私が「孫子」を学習し、
活用できるようになるまでの道のりを綴ってきました。
大きく分けると、次の3ステップがありました。
1.「孫子」のたて糸を知る 2.「孫子」のよこ糸を知る 3.「孫子」から自由になる
このうち、
1.「孫子」のたて糸を知る
には、4~5年はかかったと思います。
・全13篇の内容、体系を知る
・同時代の思想(易経、老子、孔子など)の基本を知る
・古代中国の歴史を『史記』『十八史略』などから学ぶ
といったことを行いました。
2.「孫子」のよこ糸を知る
には、2~3年かかりました。
・「孫子」を現実の問題解決に使う
ことについて、経営コンサルティングの場で 試行錯誤した末にようやく理解したのです。
3.「孫子」から自由になる
は、時間というよりも、2のよこ糸を実践している中からの 気づきが大きかったです。
あるときにふと、
・ブレークスルー
が訪れたのです。
1~3を合計すると、
・約10年かかった
わけです。
「孫子の兵法」に真正面から取り組むとしたら、
普通の人はやはりこれくらいはかかるのではないかと思います。 天才は別として。
これによって、私はコンサルティングスタイルが一変しました。
「この会社の問題はこうである。 →
(西洋ノウハウの観点から見て)その原因はこういうことが考えられる。
→ ということは、(西洋ノウハウを用いた)対策はこうすべきだ」
だったのが、
「この会社の問題はこうである。 → 孫子的思考では、この会社はこうである。
→ ということは、孫子的対策はこうすべきだ。 → 必要に応じて西洋ノウハウも用いる」
という流れに変わったのです。
具体的な事例については、拙著、
『孫子の兵法 社長が経営に活かす70の実務と戦略』
や、
「孫子の兵法」の教えシリーズ(シミルボンのコラム)
をお読み頂きたいと思います。
※ただし、これらでも「たて糸」「よこ糸」のさわり程度まで しか踏み込んでいません。あしからず。
この、私がつかんだ「孫子の兵法」をどう伝えるべきか。 これまでに私は、
1.「孫子」のたて糸を知る
2.「孫子」のよこ糸を知る
について、インターネット上のセミナーで詳しくお伝えしてきました。
しかし、最後の
3.「孫子」から自由になる
の部分はあえて伝えることはしませんでした。
なぜなら、この3こそが「孫子」学習の醍醐味だからです。
醍醐味なのに、なぜ伝えてこなかったのか?
たて糸とよこ糸という材料があれば、 この部分は本気で実践していれば気づくと思うのです。
自分で気づいてこそ、 学習者独自の「孫子」となり、 自家薬籠(じかやくろう)中のものとして、
自由自在に使えるノウハウとなります。
だから、伝えてきませんでした。
しかし、私は今回、この考え方を改めることにしたのです。
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