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「十八史略」に学ぶ兵法経営【目次】

4.戦争と殺戮編

敵を生かした場合、      殺した場合に起きること…(3)孔明と孟獲      


敵を徹底的に救い続けることで、
敵の歯向かう意思を折り、
心から臣従させた例もある。

蜀(しょく)の南方で異民族が反乱を
起こし、蜀の漢(かん)に背いたとき、
丞相の諸葛亮(しょかつりょう)
孔明(こうめい)が出兵し、
平定にあたった。

異民族の中に孟獲(もうかく)という
勇士がいた。

異民族ではもちろんのこと、
漢軍のあいだでもその勇猛ぶりは
認められていた。

諸葛亮はこの孟獲を生け捕りにし、
自分の陣営を見させた後に釈放して、
再度、戦う機会を与えた。

生け捕りにして釈放することが七回も
繰り返された。

それでもまだ孟獲を釈放しようとすると、
孟獲は立ち去らずに言った。

「諸葛公の武威は天賦のものであります。
 南方の者たちは、
 もう二度と背くことはいたしません」

諸葛亮が自陣を見せたというのは、
どこからでもかかってこい、
という自信の表れであろう。

横綱相撲だ。

孟獲に圧倒的な力の差を見せつけ、しかも、
捕らえても許すという度量の大きさを
何度も示したことで、異民族に歯向かう
気力を失わせ、心服させたのだ。

果たして孟獲を殺したらどうなっていたか。

怨みに思う異民族は反乱を続け、
漢軍は南方から目を離せず、
北方の魏(ぎ)の討伐へ向かうことは
できなかっただろう。

異民族の心をつかむことは、
諸葛亮の中国を統一するという戦略上、
どうしても必要だったのである。

→続く「敵を生かした場合、殺した場合に起きること…(4)趙匡胤と名将曹彬」
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