ハマモト経営HOME

「十八史略」に学ぶ兵法経営【目次】

2.人間の本質と欲望編(基本)

権力と支配(2)民の口を塞ぐ


穆王から四代後の夷(い)王のときには
周王朝の威光が衰え、諸侯を引見する際に
夷王自ら堂を降りるようになった。

楚が身分を越えて「王」と称するように
なったのもこの頃である。

次の厲(れい)王は完全に力で
押さえつけようとするタイプの王であった。

無道の君で、民をしいたげ、
贅沢(ぜいたく)にふけった。

衛(えい)国生まれの巫女(みこ)に
王をそしる国民を監視させ、
巫女がお告げによって告発すると、
次々に処刑した。

人々は道で会っても、
ただ目で知らせあうだけで言葉を
発しようとしなくなった。

厲王は喜んで言った。

「私の力によって非難の声がやんだぞ」

ある人が、

「それはただ民の口を塞いだに過ぎません。
 民の口を塞ぐのは川の流れを止めるより
 もはなはだ危険です。

 流れを止められた状態で堤防が
 決壊したら、人を死傷させることが
 必ず多くなるものです」

と諫めたが、王は聞き入れなかった。

そこで国民は一斉に蜂起(ほうき)した。

王はテイの国へ逃げた。

そこで、周(しゅう)公、召(しょう)公の
二宰相が協力して国政を治めた。

これを共和(きょうわ)という。

十四年後、厲王はテイの地で崩じた。

中小企業の会議に出ると、
社長の独演会に終わっているところが
少なからずある。

出席している社員の発言が極めて少ないので
あるが、彼らが無口なのではない。

社長のいない別室で、私も含めた数名で
ミーティングをしたら、見違えるほどに
しゃべるのである。

つまり、彼らは意見を持っているのだが、
社長の前では封印しているのだ。

独演会の状態が何年も続いている会社は
危ない。

社長のところに社員の声、ひいては顧客の声
が届いておらず、環境適応ができなくなって
いる可能性が極めて高いからである。

しかし、こうなった原因は、社長自身に

「批判されたくない」

という欲があるからだ。

社員が自分の前で萎縮し過ぎていると
感じたら、厲王と同じ結末とならないように
早く手を打った方がよい。

→続く「権力と支配(3)呂后の執着
「十八史略」に学ぶ兵法経営【目次】

 

 

 

inserted by FC2 system