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「十八史略」に学ぶ兵法経営【目次】

6.リーダーの条件と承継編

承継できるものとできないもの(4)孫策と孫権     


東漢王朝の末期、江東(こうとう)の地を
平定した孫策(そんさく)は、
曹操(そうそう)が本拠地としていた
許(きょ)を襲おうとしていた。

しかし、これを実行する前に、
たまたま狩猟に出かけた際、
かつて孫策が殺害した呉郡の太守のしもべに
よって狙撃され、重傷を負った。

孫策は回復の見込みのないことを知り、
弟の孫権を呼び寄せ、自分の代わりに軍隊を
統率させることを伝え、さらにこういった。

「江東の軍を率い、敵味方の間で勝機を
 見出したり、天下の豪傑と強弱を争ったり
 するのは、お前は私に及ばない。

 しかし、賢人を集め、その才能を用い、
 それぞれに心を尽くさせて江東の地を
 保つことにかけては、
 私はお前に及ばない」

孫策はこう言い残して死んだ。

次の大将となった弟に、
その強みをしっかりと伝え、
自信をもたせようという配慮であろう。

孫策は後継者の内側にある良い点を
示唆して将の地位を引き継いだ。

事業承継のあり方として
望ましいものである。

企業において事業承継する場合も、
物的資産、人材、技術、伝統などを
引き継ぐわけだが、最も大切なことは、
まったく異なる人格をもつ次期社長が、
それらをどう使いこなすかという点にある。

その人物が先代をマネしようとしても
できるものではない。

自分独自のやり方を確立するしかないのだ。

先代は、その新しいやり方をそっと
後押ししてやる程度しかできない。

孫策のように、後継者の強みをよく知り、
認めてやることが、承継時には重要である。

→続く「人間が寵愛しやすい順番と傾向(1)項羽と虞美人」
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