ハマモト経営の指針集 『論語』より

主要参考図書『論語新釈』宇野哲人著 講談社学術文庫

  郷党第十

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「孔子の郷党に於けるや、恂恂如たり。言う能わざる者に似たり。其の宗廟朝廷に在るや、便便として言う。唯謹むのみ。」

読み方「こうしの きょうとうに おけるや、じゅんじゅん じょたり。いう あたわざる ものに にたり。その そうびょうちょうていに あるや、べんべんと して いう。ただ つつしむ のみ。」

(意味)孔子が郷里にいるときは、信実温恭(まめやかでうやうやしい)で、謹んでいる。宗廟や朝廷では礼法や政事を弁じるけれども、謹んでしゃべり過ぎるようなことは無い。

→ 孔子はどこにいても、役割を果たしつつ謹んでいる。

道に従って己をコントロールしているので、感情に振り回されることも無い。

真のリーダーは、どのような場面でも冷静さを保っているものだ。





「朝にして下大夫と言えば侃侃如たり。上大夫と言えばァァ如たり。君在せばシュクセキ如たり。与与如たり。」

読み方「ちょうに して かたいふと いえば かんかん じょたり。じょうたいふと いえば ぎんぎん じょたり。きみ いませば しゅくせき じょたり。よよ じょたり。」

(意味)朝廷にいて君主がいないときに、同列の下大夫と論ずるときは礼儀を守って是非を曲げない。上官の上大夫と論ずるときは言葉を和らげ顔色をにこやかにして是非を争う。君主がいるときは恭敬して安んぜざる中にも中正を得てゆったりと論じる。

→ 孔子は誰とでも、是々非々の姿勢を変えない。

相手が自分よりも位が上だからといって、間違いを正しいと言うことは無いのだ。

ただ、礼儀はきちんとわきまえる。ここに武士の原型を見ることができる。






「人を他邦に問わしむれば、再拝して之を送る。康子薬を饋る。拝して之を受く。曰く、『丘未だ達せず、敢えて嘗めず。』」

読み方「ひとを たほうに とわしむれば、さいはいして これを おくる。こうし くすりを おくる。はいして これを うく。いわく、『きゅう いまだ たっせず、あえて なめず。」

(意味)使者をやって他邦にいる人を見舞わせるときは、再拝してその見舞う人を見るように敬意を払う。孔子が病気のとき、魯の大夫の季康子が薬を送ってよこした。孔子は之を拝して厚意に感謝した。その後にいうには「私は未だにこの薬が私の病気に適するかわかりませんので、あえて服用いたしません」と。

→ 孔子はまず送ってくれた人に対して、きちんと礼を述べている。

しかし、薬が体に効くかどうかはわからないので服用せず、率直に使者にそう伝えている。

礼を重視し、しかも冷静に判断し、ごまかさずにきちんと言う率直さがある。こうありたいものだ。






「厩焚けたり。子、朝より退く。曰く、『人を傷えるか。』と。馬を問わず。」

読み方「うまや やけたり。し、ちょうより しりぞく。いわく、『ひとを そこなえるか。』と。うまを とわず。」

(意味)孔子の家の厩がやけた。孔子が朝廷から退出し、これを知っていうには「ケガをした者はいないか。」と。馬のことは問わなかった。

→ 孔子はまず人を心配した。

大切なものの順は万事において、まず人、その次に家畜を含めた財産となるはず。

資産ができた後も、このことを忘れないようにしよう。






「い寝るに尸せず。」

読み方「いぬるに しせず。」

(意味)寝る時は死人のように体を伸ばして寝ない。

→ 寝方にも礼がある。

他人が自分の寝ている姿を見て不愉快にならないようにという配慮であろうか。

礼を重んじるとは、24時間片時も礼を忘れないことである。






「車に升るには必ず正立して綏を執る。車中にては内顧せず。疾言せず。親指せず。」

読み方「くるまに のぼるには かならず せいりゅうして すいを とる。しゃちゅうにては ないこせず。しつげんせず。しんしせず。」

(意味)車に乗るときは必ず正しく立ってひきなわを持つ。車中ではきょろきょろしたり、早口でしゃべったり、指さしたりしない。

→ 車の中でも、他の乗っている人に配慮したふるまいをする。

妙な言動は、他人をイライラさせたり、戸惑わせたりするからだ。

どこにあっても傍若無人に陥らないよう、慎まねばならない。






「色のままに斯に挙がり、翔って後に集まる。曰く、『山梁の雌雉、時なるかな、時なるかな。』子路之に共う。三たび嗅いて作つ。」

読み方「いろの ままに ここに あがり、かけって のちに あつまる。いわく、『さんりょうの しち、ときなるかな、ときなるかな。』しろ これに むかう。みたび ないて たつ。」

(意味)鳥が人の顔色を見て飛び去り、かけりまわって後に集まった。孔子がこれを見て、「山の橋の雌の雉はまさに時を得ている」と言われた。子路は意味がわからず、鳥の方に向かって捕まえようとしたが、鳥は三度鳴いて飛び立った。

→ 時を得るとは、動くべき時に動き、動いてはいけない時には動かないということ。

人間は、よくこの逆をしてしまう。

今、動くか否かは、感情に流されているかいないかで決めよう。






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