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「十八史略」に学ぶ兵法経営【目次】

2.人間の本質と欲望編(基本)

酒と女(3)六ヵ条の教え


酒と女は重なると、
より強力になって男を惑わすものだ。

唐の敬宗(けいそう)皇帝は、
位について女色にふけり、政治を怠って、
お気に入りの者たちに好きにやらせていた。

浙西(せつせい)という地の
観察使(地方行政監察官)であった
李徳裕(りとくゆう)はこの様子を嘆き、
皇帝の身に必要な六ヵ条の教えを献上した。

その一
早起きし、着替えてから政務につくこと

その二
奇異な服装をしないこと

その三
臣下に規定外の献上物を要求しないこと

その四
臣下からの助言を受け入れること

その五
邪悪な人間を遠ざけること

その六
お忍びで外出するのを控えること

というものであった。

しかし、敬宗は変わらなかった。

際限なく遊び戯れ、
性格もまた度量が小さく、
短期であった。

そのため、
側にいた宦官(かんがん)などは、
いきなり鞭(むち)で打たれるような
目に遭って、皆怨んでいた。

ある夜、狩猟を楽しんだ後、
宮中に帰り、酒を飲んで最高に
盛り上がっていたとき、
宦官の劉克明(りゅうこくめい)に
殺された。

酒池肉林の宴を催した
夏(か)の桀(けつ)王や
殷(いん)の紂(ちゅう)王には
まったく及ばない、
小規模な悪徳皇帝の話であるが、
だからこそ、現代の私たちには
よりピンと来るだろう。

事業がちょっとうまくいったとき、
調子に乗って夜の街をはしごしたり、
特定の店に通いつめる
若い経営者の話をたびたび聞く。

気をつけたいものである。

→続く富・財宝(1)滅びへの道」
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