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「十八史略」に学ぶ兵法経営【目次】

7.権力者が陥る罠と組織の崩壊編

崩壊後に起きること…    (1)外患と内憂   


組織の内部がゆるんでくると、
そこに外部の敵が付け入ってくる。

そして旧来の政権が完全に崩壊し、新政権に
よる政治が始まるとしばらくは活気づく。

しかし、満ちれば欠ける月のように、
徐々にまたその新政権も崩れ始める。

人類の歴史はそれを繰り返している。

西晋(しん)の世祖(せいそ)武(ぶ)皇帝
の頃、鎮南(ちんなん)大将軍の
杜預(とよ)は荊(けい)州の軍事を
指揮監督していたが、呉王孫皓(そんこう)
の淫乱暴虐さが日ごとに激しくなっていると
いう情報を得、上奏して、

「速やかに呉を征伐すべし」

と申し出た。

従来、西晋の朝廷内では、呉の征伐に対して
反対派が多かったのだが、このときは賛成派
の者が武帝に熱心に勧めたため、
武帝はこれを許した。

山濤(さんとう)という人事院長官は
これを聞いて、

「聖人でない限りは、
 外患が収まれば必ず内憂が起こる。

 呉を捨て置き、外患のままにしておいて
 内政につとめるのが得策では
 ないだろうか」

といったという。

山濤は西晋で内憂が起こることを心配した
わけだが、まさにその通りとなった。

呉を亡ぼして外患のなくなった武帝は
放蕩三昧となり、次の孝恵(こうけい)皇帝
の代になって「八王の乱」が置きた。

その挙句に西晋は滅亡したのである。

→続く「崩壊後に起きること…(2)賈似道、登場」
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