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「十八史略」に学ぶ兵法経営【目次】

7.権力者が陥る罠と組織の崩壊編

死にゆく者が考えること(5) 唐の太宗でも無理     


唐(とう)の太宗は名君中の名君であるが、
後継者の選定にあたっては外戚の意向を
無視できなかった。

皇后の兄、長孫無忌(ちょうそんむき)に
強力に勧められて、やむをえず治(ち)
(後の高(こう)宗)を太子とした。

しかし、太宗は帝王の心得を説いた
書「帝範(ていはん)十二篇」を
太子に授け、こういった。

「身を修め、国を治める道は、
 ことごとくこのなかに書いてある。

 だから、もしも私がこの世を去ることが
 あっても、何もいうことはないぞ」

高宗は、中国の歴史上、最高の教科書を
もらって即位した皇帝ということが
できるだろう。

太宗も、この息子が名君となることを
期待していたに違いない。

ところが、結果は
則天武后(そくてんぶこう)に
王朝を簒奪される事態にいたった。

この事例から、
どんなに最高の教えを授けても、
教えた側の思惑通りにはいかないと
分かるのである。

→続く「死にゆく者が考えること(6)光武帝の成功要因」
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