共に頂点を求めて戦ってきた
同志的な人間でも、頂点に立ってみると、 途端に邪魔な存在になることがある。
昨日までの友が今日は敵に、
自分の地位だけでなく命までも脅かす刺客に 見えてくるのだ。
その人間を殺したり排除したりすることは、
単純に考えれば味方を減らすことである から、自分の勢力を弱めることにつながるの
だが、権力の亡者にはなかなかそのことが 分からない。
秦(しん)の始皇帝(しこうてい)亡き後、
その死を秘匿し、太子である始皇帝の長男で はなく、自分たちにとって都合のよい末子を
二世皇帝として即位させることを共謀した 宦官(かんがん)の趙高(ちょうこう)と 丞相(じょうしょう)の李斯(りし)で
あったが、時間が経過するにつれ、 趙高には李斯が邪魔な存在となっていった。
秦のあちこちで反乱が起きているにも かかわらず、その情報は趙高のロボットと 化している二世皇帝の耳に入っていない。
危機感の薄い朝廷に、このままでは秦が 危ういと感じた李斯は直接、上訴しようと
したが、趙高はその機会を逆に利用し、 李斯を罪に落として殺してしまった。
しかし、秦そのものが弱体化しているの だから、権力を維持できるわけがない。
秦軍が総崩れとなるなか、
趙高は責任を追及されることを恐れて 二世皇帝を暗殺するも、 その兄の子に殺されてしまった。
しばらくして秦は亡びた。
→続く「右腕が邪魔に(2)李輔国と張皇后」 →「十八史略」に学ぶ兵法経営【目次】
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