参考図書『中庸』宇野哲人全訳注 講談社学術文庫
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読み方「てんの めいずるを これ せいと いう」 (意味)天(造物主・神)が命じ、人間がもとから持っているものを生まれつきの性質(たち)という。 → それぞれの人間は、それぞれ固有の性質を天から与えられている。
「性に率うをこれ道と謂う」 読み方「せいに したがうを これ みちと いう」 (意味)人間がもとから持っている生まれつきの性質にしたがって生きることを、道という。 → 道は、人それぞれである。自分の個性に気づくと、進むべき道が見えてくる。
「道を修むるをこれ教えと謂う」 読み方「みちを おさむるを これ おしえと いう」 (意味)「道とは何か」を修得することを、教え(=学問)という。 → 道を習得するには、頭での理解だけでは不可能だ。
「君子その睹ざる所を戒慎し、その聞かざる所を恐懼す」 読み方「くんし その みざる ところを かいしんし、その きかざる ところを きょうくす」 (意味)君子はまだ見ないうちから戒め慎み、聞かないときに恐れ懼(おそ)れる。 → 見えてから聞こえてから、道にはずれていることを悟っても遅い。
「隠れたるより見るるは莫く、微かなるより顕なるは莫し」 読み方「かくれたるより あらわるるは なく、かすかなるより あらわなるは なし」 (意味)暗いところでは外に見えるものは無いが、心の中の微かな兆しほどはっきりしているものはない。 → 他の誰にも見られていなくても、自分の心だけは知っている。
「喜怒哀楽の未だ発せざる、これを中と謂う」 読み方「きどあいらくの いまだ はっせざる、これを ちゅうと いう」 (意味)(外部からの刺激による)喜怒哀楽がまだ発していない状態を、(一方に偏ることがないので)中という。 → 完全にバランスが保たれている状態である。
「発して皆節に中る、これを和と謂う」 読み方「はっして みな せつに あたる、これを かと いう」 (意味)喜怒哀楽を発して、しかもほどよく節度を保っているのを和という。 → 喜怒哀楽の感情をコントロールできている状態である。
「中は天下の大本なり。和は天下の達道なり」 読み方「ちゅうは てんかの たいほんなり。かは てんかの たつどうなり」 (意味)中は天下全てのものの根本である。和は天下全てのものの通じている道である。 → 喜怒哀楽を発する前のようにバランスを保ち、発したら節度を保つ。
「未だ上仁を好みて下義を好まざる者あらざるなり」 読み方「いまだ かみ じんを このみて しも ぎを このまざる もの あらざるなり」 (意味)未だに国王が思いやりいつくしむ政治を好んでいるのに、国民が正義の行いをしないということはない。 → トップが社員をいつくしめば、社員は正しい道を行く。
「中和を致して、天地位し、万物育す」 読み方「ちゅうかを いたして、てんち くらいし、ばんぶつ いくす」 (意味)中と和を極めれば、天地は天変地異も無く安んじ、万物は育まれる。 → リーダーが己のバランスを常に保つことができれば、組織の環境が整い、人が成長する。 |