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「十八史略」に学ぶ兵法経営【目次】

4.戦争と殺戮編

勝敗を本当に分けるもの(1)  錦の御旗、劉邦


勝つか負けるかという戦いにおいて、
最も重要なのは軍の勢いである。

勢いを最後まで持続した側が勝つ。

ただし、勢いというのは
人間の元気な気分の集合体のようなもの
であり、さまざまな要素によって
強まったり弱まったりするので、
単純にこうすれば勢いがつく、
と一言で片付けられるものではない。

まず、「十八史略」中にもよく出てくる
のは、錦の御旗(みはた)を掲げた軍か、
はたまた逆賊か、という点である。

中国では春秋時代の昔から「文」が
重視された。

文とは学問、文化的な側面である。

いくら「武」に優れていても、
それだけでは野蛮人と同じで、
誇り高き中華の人間とは言えないのだ。

天子の継承の三つの方式、禅譲、世襲、
放伐(ほうばつ)のなかでは、
世襲しないのならば禅譲されるべきであり、
放伐、つまり主君を討って天子の位を奪う
などは逆賊のすることである。

項羽(こうう)と劉邦(りゅうほう)の
戦いにおいて、項羽は自分の主君である
懐(かい)王を殺してしまった。

逆賊である。

逆に劉邦はこの件を利用し、
逆賊の項羽を伐つという錦の御旗を掲げた。

正義の軍なのだ。

何も知識のない野蛮人ならばともかく、
善と悪を知っている者なら皆、
善人と呼ばれたいものである。

正義の軍にいる方は気分がよいので
勢いがつくが、
逆賊の軍にいる方は力も出にくいのだ。

→続く「勝敗を本当に分けるもの(2)勇敢さ、光武帝」
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