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「十八史略」に学ぶ兵法経営【目次】

3.権力の本質と内部抗争編

  覇権を握った者の習性(1)越王の句践


さまざまな手を打って
ようやく手に入れた権力の座。

しかし、その座についてみると、
意外にもそこは安心できる場所ではなく、
いつまた自分が追いやられる立場になるか、
びくびくして過ごさねばならない
場所であった。

昨日までの味方も
敵の顔に見えてくるのである。

春秋時代末期、宿敵、呉(ご)を
亡ぼした直後の越(えつ)から、
重臣で対呉戦略の中心人物であった
范蠡(はんれい)が去っていった。

范蠡が大夫の文種(ぶんしょう)に
手紙を送って言うには、

「越王は首が長く、口は烏(からす)の
 ようにとがっている。

 あれは、苦難を共にすることができても、
 安楽を共にすることはできない人相で
 ある。貴公も早く去った方がよい」

そこで文種は病気と称して朝廷に出ず、
家にひきこもった。

すると、越王の句践(こうせん)に
こう讒言(ざんげん)する者が現れた。

「文種は、今まさに謀反(むほん)を
 起こそうとしております」

怒った句践は文種に剣を下賜(かし)した。
「死ね」という意味である。

文種は自殺した。

一方、越を出た范蠡はというと、
なんと商売を始め、
またたく間に大富豪となった。

越の重臣として呉を亡ぼすことに成功し、
王句践の残忍性を見抜いていち早く越を
脱出、その次は商人としても成功した范蠡。

人情の機微に通じていたのであろう。

→続く覇権を握った者の習性(2)漢の高祖、劉邦」
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