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「十八史略」に学ぶ兵法経営【目次】

8.時代を読む先見と行動編

先が見えない時代のリーダーの資質…(3)結果に楽観的

第二の資質は、

結果に対して楽観的である

という点だ。

先の李世民も、
父の李淵に対して進言した際、

「此萬全策」
(此(こ)れ萬全(ばんぜん)の策なり)

と言い切っている。

隋王朝に反旗を翻すのを絶対にうまくいくと
断言できる自信はいったいどこから
湧いてくるのだろうか。

宋(そう)王朝の太祖、
趙匡胤(ちょうきょういん)に
こんな逸話がある。

即位した当初、趙匡胤は、今回の革命に
対して民がどう思っているかを知ろうと、
しばしばひそかに町へ出て忍び歩いた。

臣下のある者が心配して、

「軽率に外出されてはなりません」

と諫めた。

すると、趙匡胤は笑って、

「帝王になれるかどうかについては、
 自然に天命で決まっているのである。

 後周(こうしゅう)の世(せい)宗は、
 諸将の中で貴人の相である四角な顔、
 大きな耳を持った者を見ると、
 自分と争うことになるのを恐れて、
 皆、殺してしまった。

 私はいつも世宗の側にいたけれども、
 この私を殺すことはできなかった
 ではないか」

趙匡胤は、
その後も頻繁に忍び歩きを続けた。

そして、こういった。

「天命を授かっている者は、
 誰でも自由に天子になるがよい。

 私はその者の邪魔などしないぞ」

この自信にあふれた言葉の前に、
朝廷の内外の者は皆、畏(おそ)れて
服従した。

趙匡胤の場合、民の心情がどうかと心配して
町を忍び歩きしたという点に、
人に対する配慮の細やかさが伺える。

他人のことはこうして気にかけるが、
自分が狙われたり、
他の者が天子の座を狙ったり、
などということには無頓着だった。

自信があるというよりは、
結果は天が決めること、
とでもいうような達観した感じが
見受けられる。

→続く「先が見えない時代のリーダーの資質…(4)決断力と実行力」
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