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「十八史略」に学ぶ兵法経営【目次】

8.時代を読む先見と行動編

激動の時代に現れるチャンスと見つけ方(1)蘇秦の合従策

時代の転換点においては、
大状況をつかんでいる者とつかんでいない者
との差が大きく開くことになる。

例えば、金(きん)と南宋(そう)は、
元(げん)の潜在能力の大きさを見誤った
ために、対応を間違って亡ぼされた。

元は武力を増しているとはいっても、
南方のきらびやかな文化はあこがれの対象
だったはずで、金と南宋はその点を強みと
しながら、元との共存共栄をはかることは
できたのではないか。

高麗のように、元の属国となりながらも、
元の勢力が弱まるまで生き延びた例は
あるのだ。

南宋はあくまでも金に奪われた領土の奪還に
こだわり、金は野蛮人の元の上に立つことに
固執して争いを続けた。

そして、元の圧倒的な武力の前に
亡び去ったのである。

変化の激しい時代、多くの人は自分の周囲で
何が起こっているのか、
正しく把握することができない。

そのような状態だと、
ただ時代の波に流されるだけに終わる。

そんななかでチャンスをつかむのは、
変化の中身をつかんだ者だけだ。

戦国時代、蘇秦(そしん)という者がいた。

彼は洛陽(らくよう)に生まれ、
鬼谷(きこく)先生を師として
遊説(ゆうぜい)術を学んだ。

はじめ、秦の恵(けい)王に天下統一の策を
説いたが登用してもらえなかった。

そこで、次には燕(えん)の文(ぶん)侯の
もとを訪れて合従(がっしょう)策を説き、
趙(ちょう)と同盟して秦に当たることを
勧めた。

文侯は蘇秦に旅費を与えて、趙に遣わした。

蘇秦は趙の粛(しゅく)侯にこう説いた。

「ただ今、諸侯の兵力を合わせると秦の十倍
 にはなります。

 諸侯が同盟し、協力して西の秦を討てば、
 秦が敗れるのは間違いありません。

 粛侯のためを考えますと、
 六国が合従して秦を退けることこそ、
 最高の策であると存じます」

粛侯はそこで蘇秦に旅費を与えて、
諸侯を説いて回らせた。

蘇秦は世俗のことわざをもって
諸侯に説いた。

「鶏の口となっても、
 牛の尻になってはなりません」

こうして、燕(えん)、趙(ちょう)、
韓(かん)、魏(ぎ)、斉(せい)、
楚(そ)の六国による合従が成立した
のである。

→続く「激動の時代に現れるチャンスと見つけ方(2)張儀の連衡策」
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