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「十八史略」に学ぶ兵法経営【目次】

8.時代を読む先見と行動編

人を魅きつけて力をつけていく行動(2)趙匡胤の合交斉武

自己を犠牲にして他人を助けられる人物は、
いつの世も尊い存在だ。

仕事の才能の有無以前に
こうした徳を持っていることが、
魅力ある人物の必須条件である。

「十八史略」に登場する人物のなかで最高の
名君といってもよい、北宋の太祖、
趙匡胤(ちょうきょういん)の魅力の
分かる部分を抜き出してみよう。

太祖の宮中に、かつて後唐(こうとう)の
荘(そう)宗に仕えていた
宦官(かんがん)がいた。

太祖が彼にこう質問した。

「荘宗は英邁(えいまい)、武勇(ぶゆう)
 な性質で、天下を平定した。

 にもかかわらず、長く国を保つことが
 できず、わずか三年で亡んだのは
 なぜであろうか」

その者が理由を語ったところ、
太祖は股(もも)を打って嘆息した。

「二十年もの長い間、黄河をはさんで戦争を
 し、天下を取ったのに、軍法によって部下
 を締めつけることができなかったとは、
 まことに子供の遊びのようなものである。

 今、私は士卒を慈しみ養い、爵位や恩賞を
 おしまずに与えているが、
 もしもわが軍法を犯す者があれば、
 ただ剣でたたき斬ってやるだけだ」

「孫子の兵法」の行軍篇に
 以下の一節がある。

「之(これ)を合(がっ)するに交(こう)
 を以(もっ)てし、之を斉(ととの)うる
 に武(ぶ)を以てす。
 
 是(これ)を必ず取ると謂(い)う」

意味:軍隊は気持ちを一つにまとめるのに
   思いやりをもってし、ルールに
   従わせるのに軍の規律をもってする。
   そのように統率されれば、
   戦えば必ず勝ち、攻めれば必ず取ると
   いう、いわゆる必勝の軍となる。

太祖、趙匡胤が行っていたのは
まさにこれである。

士卒を身内のように愛しつつも、
軍法を犯す者には厳しく接する姿勢が
彼の統率力を高めたのだ。

→続く「人を魅きつけて力をつけていく行動(3)趙匡胤の統治法」
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