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「十八史略」に学ぶ兵法経営【目次】

8.時代を読む先見と行動編

天変地異が人々に与える影響と心理的作用(2)全てトップの責任 

殷(いん)王朝を興した湯(とう)王は、
大旱魃が七年も続いたとき、
人間をいけにえにするしかないという
天文官の意見に対して、
どうしても人を供えなければならないのなら
自分自身が犠牲になるといい、
死に装束をまとって天に祈った。

その結果、大雨が降り、
数千里四方をうるおしたという。

湯王の時代から二千年以上も後の北宗でも、
やはり天変地異は人災と考えている。

北宗(そう)の太宗のとき、
長雨や出水(しゅっすい)が度を越えて
激しいことがあった。

太宗は嘆いてこういった。

「私は平素、処罰や裁判などについて
 十分に心をくだき、
 公平にやっているつもりだが、
 どうしてこのように陰気が積もり、
 長雨というとがめを受けるのであろうか」

すると、寇準(こうじゅん)は上席の者を
さしおいて意見を述べた。

「ある州の役所の小役人がわずかな公金を
 私的に使った事件がありました。

 これは法の観点から見れば過失としては
 小さいものですが、陛下はこれを死刑に
 処されました。

 王淮(おうわい)は参政の
 王ベン(おうべん)の弟ですが、
 数百万もの公金を盗みました。

 法に照らせば大罪です。

 ところが陛下は王ベンの弟であると
 いうことで、罪をお許しになりました。

 このようなことをされながら、
 『裁判などに十分に心をくだいている』
 などと仰せられても、どうして陰気を
 積もらせる天のとがめを受けずに
 いられましょうか」

太宗は即日、王淮を誅殺し、
王ベンを罷免した。

すると雨はすぐにやんだ。

→続く「天変地異が人々に与える影響と心理的作用(3)王安石、失脚」
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