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「十八史略」に学ぶ兵法経営【目次】

8.時代を読む先見と行動編

天変地異が人々に与える影響と心理的作用(1)災害は人災 

日本の未来を考えるにあたっては、
東日本大震災からの復興も大きな課題と
なっているが、「十八史略」のなかにも
数々の天変地異の記載が見られる。

夏(か)王朝の祖である禹(う)の父親、
鯀(こん)は、古代の聖帝、堯(ぎょう)
のとき、洪水を防ごうとして失敗し、
次の帝舜(しゅん)のときに退けられ、
代わりに禹が登用された。

禹は身体を痛め、
心を砕いて治水にあたった。

仕事のために外に居続けること十三年、
わが家の門前を通り過ぎても中に
入らなかった。

陸を行くには車を、水上を行くには船を、
沼地を行くには橇(そり)を、
山を行くにはかんじきを用いた。

こうして全土にわたって土地を開き、
道路を通じ、沼沢に堤防を築き、
山岳を測量し、ついにその完成を
舜に奏上した。

舜は禹の功を賞して、百官を率いさせ
天下の政事を任せたのである。

神話の世界の話とはいえ、
いかに古代中国の人々が自然の猛威との
闘いに苦労していたかが伝わってくる。

夏王朝の祖は、国土建設大臣だったのだ。

宰相の役割について、
西漢(かん)王朝で孝文(こうぶん)皇帝に
仕えた陳平(ちんぺい)はこう述べている。

「宰相という役は、上は天子を助け、
 陰陽を調和させ、
 四時(しいじ)(春夏秋冬)の循環を
 整えて天変地異がなくなるようにし、
 下は万物を適当に成長させ、
 外は四方の蛮族を鎮圧して従わせ、
 内は人民を心服させ、高位の役人に
 それぞれの職責を果たさせることである」

宰相は天子を助けて
天変地異をなくならせる立場である。

天変地異発生の責任は、天子と宰相の
共同責任と考えられていたようだ。

旱魃(かんばつ)や長雨、地震などの
災害が発生するのは政治が悪いためであり、
人災だという考え方なのである。

→続く「天変地異が人々に与える影響と心理的作用(2)何でもトップの責任」
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