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「十八史略」に学ぶ兵法経営【目次】

7.権力者が陥る罠と組織の崩壊編

崩壊後に起きること…    (7)賈似道、失脚  


賈似道(かじどう)は
揚(よう)州に逃げ込んだ。

都の臨安(りんあん)にも元軍が
接近したので厳重な警戒体制がしかれた。

朝廷の臣たちは、
夜陰にまぎれて続々と逃亡した。

王ヤク(おうやく)、
陳宜中(ちんぎちゅう)らが、
賈似道の不忠不孝の罪を弾劾した。

賈似道はついに失脚し、
遠国(おんごく)に流されることに
なった。

以前、父親を賈似道に流されたことの
ある鄭虎臣(ていこしん)という男が、
父の仇討ちをしようと護送役を志願し、
ショウ州まで来たとき、便所のなかで
賈似道の胸骨をへし折って殺した。

この翌年、臨安を元に占領され、
南宋は事実上、亡んだ。

その後、文天祥(ぶんてんしょう)らが
逃亡しながら徹底抗戦を試みるも、
三年後、南宋は完全に滅亡した。

南宋では賈似道の専横を許した結果、
朝廷には賢臣がいなくなって
佞(ねい)臣ばかりがはびこり、
将軍たちは次々と元に降った。

賈似道は元との外交でも誤りを犯した。

元の皇帝、忽必烈には南宋と友好関係を
結ぼうという意思もあったものの、平和の
使者である?経を南宋側が捕らえたため、
一転、武力制圧に転換したのである。

元のような超大国が生まれつつあるという
環境の激変時に、
南宋は内部が崩れてしまった。

亡びるべくして亡びたといえよう。

企業においても、昨今のような経営環境変化
の速度が早い時代は、内部をしっかりと
固めねば、長く企業を存続させることは
とても困難である。

一致団結して事に当たるということを、
社長は日ごろから周知徹底することが
重要だ。

社内の結束は戦略や戦術についての
アイデアをひねり出すことよりも大事

である。

アイデアはその気なればいくらでも
生み出せるが、組織内の対立が起こると、
問題の収拾には多大なエネルギーを必要と
するし、南宋のように最後まで解決できない
ということも起り得るからだ。

特に幹部社員に対しては、
信頼して任せながらも、
任せっぱなしにしてはならない。

日々のコミュニケーションを
欠かさないようにすべきである。

→続く 8.時代を読む先見と行動編「大波乱の時代は過去に何度も起きている(1)契丹と北宋」
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