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「十八史略」に学ぶ兵法経営【目次】

7.権力者が陥る罠と組織の崩壊編

要職に誰をつけるか(3)   鄭綮が宰相に     


唐(とう)王朝末期の
昭宗(しょうそう)皇帝は、即位して以来、
賢くて優れた人物を用いて政治改革を
推進したいと夢にまで想っていたが、
最後まで用いることが出来なかった。

あるとき、朝廷の士大夫に
鄭綮(ていけい)という人物がいた。

冗談をとばすことが好きで、
よく歇後(けつご)詩(語句の後半を省き、
前半だけでその語句全体の意味を想像させ
る。しゃれ言葉)を作って、その時々の
社会的な出来事を皮肉っていた。

昭宗はその詩を読んで、
なかなか含蓄(がんちく)があると
感じ入り、みずから官吏の役職名簿に
彼の姓名を書き入れて、
鄭綮を宰相に登用した。

宰相府の役人が走って行き、
鄭綮にその旨を伝えたけれども
彼は信用しなかった。

やがて祝賀の客がつぎつぎとやってきた。

すると鄭綮は頭をかきながらいった。

「歇後詩など作っているこの鄭五(ていご)
 (鄭綮のこと。兄弟の順序が五番目だった
 という意)が宰相に任命されるようでは、
 天下のことは推して知るべしである」

現代でいえば、テレビ番組の評論家などで、
ちょっと言葉が面白くて人気の高いものを
閣僚に指名するようなものであろう。

王朝末期には信じ難い人事が
行われたのである。

→続く「要職に誰をつけるか(4)朱全忠と唐の滅亡」
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