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「十八史略」に学ぶ兵法経営【目次】

6.リーダーの条件と承継編

      死の利用方法(4)     環境条件の変化と対応    


秦(しん)の始皇帝(しこうてい)は、
巡幸中に亡くなった。

このとき、
丞相(じょうしょう)の李斯(りし)、
宦官(かんがん)の趙高(ちょうこう)
らは、あえて始皇帝の死を秘密にした。

生きているように見せかけ、
始皇帝の詔勅が下ったとして、
自分たちに都合の良い人物を太子に立て、
都合の悪い本物の太子には自殺を命じて
葬った。

始皇帝が生きていたらできなかったことを、
死を利用して行い、
権力を維持したのである。

西漢の孝宣(こうせん)皇帝が十八歳で
即位したときは、霍(かく)氏が強大な
権限を握っていた。

宣帝は皇后を殺されるという
目に合っている。

それでも宣帝は我慢した。

そして、最大の実力者である
霍光(かくこう)が亡くなってから、
霍氏の実権を少しずつ取り上げていった。

追い詰められた霍氏一族は反乱をたくらむ
が、これが発覚。

一族すべてが誅殺されたのである。

実力者が生きているというのは、
他の者にとって重要な環境条件の一つだ。

そのために自分の権限や行動が
何らかの制約を受けるのである。

その人間が亡くなることは、
環境条件が大きく変化したということで
あり、当然ながら、生きている者たちは
動き方を変える必要が生じる。

そこでうまく動けば大きく発展するが、
下手に動けばかえって状況は
悪くなってしまう。

企業経営においても、
人の死は大きな影響を与えることが多い。

現代においては、その死を利用しようと
考えることそのものが不謹慎であり、
許されることではない。

ただ、死にゆく側が残された者のために
考えることはあるだろう。

企業経営者の死は、後継者や従業員、
取引先などに多大な影響を与える。

その意味で、自分の死後も会社が
発展へ向かうように準備をしておく
ことは、経営者にとって大事なことだ。

死後、どのようなトラブルが起こり得るか、
それを乗り越えるための対策はどうするか
など、よく検討して態勢を整えておくべき
である。

→続く「承継でもめないようにするには…(1)李世民の即位」
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