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「十八史略」に学ぶ兵法経営【目次】

6.リーダーの条件と承継編

 人は何に従っているのか(1)呂后と人民      


「十八史略」には、権力の中枢に上りつめた
悪女が二人登場する。

一人は西漢の呂(りょ)后であり、
もう一人は唐(とう)の
即天武后(そくてんぶこう)である。

呂后は劉(りゅう)氏からあと少しで王室を
奪うところまでいったし、即天武后は実際に
唐を廃して周(しゅう)王朝を開いた。

なぜ、人はそこまで
この二人に従ったのだろうか。

その理由は、彼女らの政治が
人民に対して大きな悪影響を与えなかった、
という点にある。

呂后の時代について、司馬遷(しばせん)は
「史記」にこう記している。

「孝恵(こうけい)皇帝と呂太后の時代、

 人民は戦乱の苦しみから解き放たれ、
 君主も臣下も共に無為という休息を欲した
 時代であった。

 だから恵帝はただ手をこまねくばかり
 だったのである。

 呂太后が女性の身でありながら政治の実権
 を握ったものの、その争いはもっぱら宮廷
 内に留まったため、天下は安泰であった。

 刑罰が用いられることも稀(まれ)で、
 罪人も少なかった。

 人民は本来の仕事に精を出すことができ、
 衣食は豊かになったのである」

もしも人民が苦しんでいるということで
あれば、心優しい恵帝は立ち上がったかも
しれないが、人民は平和に暮らせていたので
あるから、母親である呂太后の好きにさせた
という面はあっただろう。

高祖劉邦の時代から仕えていた重臣の
陳平(ちんぺい)や周勃(しゅうぼつ)も
呂太后の専横を止めなかったのは、民の
暮らしが安泰だった面が大きいと思われる。

そのうちに機を見て政権を奪い返し、
漢の国家と劉家の血筋を守ろうという
長期的な視点に立てたのだ。

→続く「人は何に従っているのか(2)即天武后と人材活用」
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