参考図書『論語』宇野哲人全訳注 講談社学術文庫
読み方「のべて つくらず、しんじて、いにしえを このむ。ひそかに わが ろうほうに ひす。」 (意味)私は古人の言ったことを受けて述べるばかりで、新たに作ってはいない。古人の言ったことを信じて好んでいるからだ。昔、老彭という賢人がそうだったのだが、私もこの賢人に比してこうしているのだ。 読み方「もくして これを しるし、まなんで あかず、ひとを おしえて うまず、いづれか われに あらんや。」 (意味)言わずに心に刻んで忘れないこと、学んで厭きないこと、人を教えて倦まないこと、このうちの一つも私はできていない。 読み方「とくの おさまらざる、がくの こうぜざる、ぎを きいて うつる あたわざる、ふぜん あらたむる あたわざる、これ わが うれいなり。」 (意味)徳を完全に修めることができず、学問研究が明らかにならず、義を聞いても現状から移ることができず、言わずに心に刻んで忘れないこと、学んで厭きないこと、人を教えて倦まないこと、このうちの一つも私はできていない。 読み方「しのえんきょ、しんしんじょたり。ようようじょたり。」 (意味)孔子が何もせずにひまでおられるときは、身体はゆったりしてのびやかであり、顔色は平和で悦ばしそうににこにこしている。 読み方「はなはだしいかな、わがおとろえたるや。ひさしいかな、われまたゆめにしゅうこうをみざるや。」 (意味)私ははなはだしく衰えてしまった。長い間、尊敬し模範としていた周公の夢を見ていない。 読み方「みちに こころざし、とくに より、じんに より、げいに あそぶ。」 (意味)本来あるべき道を進むことを志し、実践の中から徳を悟って得、私欲が尽き仁に依りつけば、日々の行いをしながら本心を失うことがなくなる。 読み方「そくしゅうを おこなうより いじょうは、われ いまだ かつて おしうる こと なくば あらず。」 (意味)人が礼儀正しく教えを請うてくる以上は、私は未だかつて教えなかったことは無い。 読み方「ふんせずんば けいせず。ひせずんば はっせず。いちぐうを あぐるに、さんぐうを もって はんせずんば、すなわち ふたたびせず。」 (意味)なかなか知ることができずに苦しんでしなければ、わかるようにしてやらない。わかっても口で表現できないのを見かけなければ、言い表し方を教えてやらない。少しヒントを与えたら他に類推して道理を語ることができないようなら、再び告げることはしない。 読み方「しもあるもののかたわらにしょくすれば、いまだかつてあかず。しこのひにおいてこくすればすなわちうたわず。」 (意味)孔子が喪のある者(身近な人間を亡くした者)の側で食事をするときは、悲しみのため、いつも十分に食べたことは無かった。孔子は喪を弔って大声で泣き悲しめば、悲しみが残って歌を歌うことはなかった。 読み方「し がんえんに いって いわく、『これを もちうれば すなわち おこない、これを すつれば すなわち かくる。ただ われと なんじと これ あるか』。」 (意味)孔子が顔淵に言うには、「人君が自分を用いるならば出て道を行い、人君が自分を用いないならば退いて隠れるというふうに、こだわらずに時に従って行動できるのは、ただ私とあなただけでしょう」。 |