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エピソード集

「孫子の兵法」を駆使したと思われる兵法家のエピソード1

孫ピン「迂直の計」


孫ピンの「迂直(うちょく)の計」

わざと回り道をしながら、
かえってその道を近道にしてしまう計略

【登場人物】

斉(せい):軍師 孫ピン、将軍 D
魏(ぎ):将軍 ホウ涓



魏(ぎ)の王が趙(ちょう)を攻めようと、
将軍ホウ涓(けん)に命じて8万の兵を向かわせた。
ホウ涓はまずA地点を攻めた。

趙の王が斉(せい)に救援を求めたので、
斉の王はD将軍にこれを防ぐように命じた。

D将軍は早速A地点に向かおうとした。

そこへ軍師の孫ピン登場。

「お待ちくだされ。A地点に向かうのではなく、
 敵である魏のH地点の城を攻めてください。

 実は、H地点の城は強兵を備えており、
 攻略困難です。わざとこれを攻めて、
 わが軍がいかにもアホのように見せかけるのです。

 また、ここを攻めると糧道も断たれやすいので、
 わが軍の作戦は劣っているように見えることでしょう」

D将軍は孫ピンに言われたとおり、H地点に急行した。

さらに孫ピンは言った。

「わが軍の武将のうち、兵法にうとく、
 役に立たぬ者を選び、H地点の城を攻めさせてください」

D将軍は2名の武将を選び、部隊を率いさせた。
彼らは城攻めを行ったが大敗し、2名は戦死してしまった。

ホウ涓は、魏のH地点を攻められても痛くもかゆくもない。
斉軍を嘲笑っていた。

D将軍は戸惑った。

「H地点を攻略できなかったばかりか、2人の武将を失い、
 大敗を喫した。これからどうすればよかろうか」

孫ピンはこう言った。

「今度は身軽な兵車による機動部隊で、
 魏の都であるT地点を襲わせましょう。
 敵の将軍ホウ涓を怒らせるのです。

 本隊は分散して機動部隊の後に従い、途中、
 少しずつ食事のための竈(かまど)を減らして、
 兵隊が逃げ散っているように見せかけます」

D将軍はこの作戦に従って行動を開始した。

ホウ涓は斉軍が魏の都周辺を荒らしまわっていると聞き、
激怒。

「斉軍のようにまともな作戦も立てられない弱兵、
 わが騎馬隊だけで蹴散らしてくれるわ」

そう叫び、歩兵や輜重隊は置き去りにして出発。途中、
斉軍の竈(かまど)が10万→5万→2万と減っているのを見て、
いよいよ弱兵と馬鹿にした。

そして一気に斉軍に迫ろうと2倍の速度で行軍した。

孫ピンはホウ涓の軍がいつ頃、どこを通るか計算。
待ち伏せする地点を決め、伏兵を置いた。

夕暮れ時にその地点を通るはずだ。
道の途中の大きな木の幹を削って、こう記した。

「ホウ涓、この木の下に死す」

そして、自軍の兵にこう命じた。

「夕暮れ時、ここに火がともったら、
 火に向かって一斉に矢を放て」

ホウ涓は昼夜兼行でかけつけた。
そして、孫ピンの計算通り、夕暮れ時にこの道を通った。

何か文字が書いてあるのを見かけて火を灯し、読んでいると、
斉軍の矢が一斉にうなりをあげて飛んできた。

魏軍は大混乱に陥った。

「しまった。ついにあいつに名をなさしめてしまったか」

ホウ涓の軍隊は壊滅。
ホウ涓は自害したとも捕虜になったとも言われている。

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