参考図書『大学』宇野哲人全訳注 講談社学術文庫
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読み方「その れいする ところ その このむ ところに はんして たみ したがわず」 (意味)君主の命令することが、君主が好んでいることに反していたら、民は従わない。
「上に悪む所、以て下を使う毋れ」 読み方「かみに にくむ ところ、もって しもを つかう なかれ」 (意味)上司が自分を使うのにいやなところがあれば、自分が部下を使うときにそれと同じことをしてはならない。 → 部下育成もマーケティングも同じ。 人が嫌がることをせず、喜ぶことをする。 何をしてあげれば喜ぶか。問題解決をしてあげれば喜ぶ。
「衆を得れば則ち国を得、衆を失えば則ち国を失う」 読み方「しゅうを うれば すなわち くにを え、しゅうを うしなえば すなわち くにを うしなう」 (意味)国民に支持されれば国を治めることが出来るが、支持されなければ国を治めることが出来ない。 → 部下に支持される上司であればその集団をまとめていくことが出来るが、そうでなければまとめられない。 部下に支持されない上司であれば、どんな制度も仕組みもうまくいかない。 逆に、部下から支持される上司であれば、制度・仕組みは大雑把でも機能させることが出来る。
「君子先ず徳を慎む。徳あればこれ人あり」 読み方「くんし まず とくを つつしむ。とく あれば これ ひとあり」 (意味)国王は先ず徳について過ちが無いよう気を付ける。国王に徳があれば人は国王を慕って集まる。 → 良い人材は、良いトップに集まってくる。 「うちはろくな社員がいない」と言うのは、「トップがろくでもない」のを認めていること。 それに気がついたとき、真の組織風土革命が始まる。
「人あればこれ土あり」 読み方「ひと あれば これ ど あり」 (意味)国王を慕って人が集まれば、自然と領土が広がる。 → 良い人材が集まってくれば、事業の規模が拡大する。 トップ一人では、いつか限界が訪れる。 人材育成は時間がかかるが、「やっててよかった」と思う日が必ず来る。
「徳は本なり。財は末なり」 読み方「とくは もとなり。ざいは すえなり」 (意味)(本末関係で言うと)国王の徳が本で、財が末である。 → トップの徳が確固としていれば、自ずから財は増える。 トップは財を追求しつつも、常に自らの行動を反省すること。 行動の原因である判断基準のレベルを高め続けることが、徳を磨くことである。
「本を外にし末を内にすれば、民を争わせ奪うを施す」 読み方「もとを ほかに し すえを うちに すれば、たみを あらそわせ うばうを ほどこす」 (意味)国王が徳を末にし利益追求を優先すれば、国民はそれをまねして利益に走り奪い合うようになる。 → トップが目先の利益を追いかければ、社員もそうなる。 ひどい場合は、お客をだましてでも売上を取ろうとする社員まで出てくる。 人事評価で社員を競争させるのは、あくまでも徳がベースにあることが前提と心得るべき。
「財聚れば則ち民散じ、財散ずれば則ち民聚る」 読み方「ざい あつまれば すなわち たみ さんじ、ざい さんずれば すなわち たみ あつまる」 (意味)国民から必要以上に取り立てて国王に財が集まれば国民は離れていき、財を国民に行き渡るようにすれば国民は帰服して集まってくる。 → トップが必要以上に役員報酬や内部留保を増やすと社員は離れていき、社員に還元すればトップを慕って集まってくる。 社員に還元されるシステムを確立して公開することが大事。 要は信頼関係の確立。社員も必要以上に欲しいとは思っていない。
「言悖って出づる者は、亦悖って入る」 読み方「げん もとって いづる ものは、また もとって いる」 (意味)国王が道理にはずれた言葉を発すれば、国民からも道理にはずれた言葉が返ってくる。 → トップの言葉に思いやりがなければ、社員がトップに対して思いやる言葉をかけることもなく、痛烈な批判が帰ってくる。 トップの言葉一つが社風をつくる。 例えば「やる気の無い人間はやめろ」という言葉に思いやりが感じられるか。
「貨悖って入る者は、亦悖って出づ」 読み方「か もとって いる ものは、また もとって いづ」 (意味)悪徳商法などの道理にはずれたやり方で稼いだお金は、身につかずに流出する。 → お金を稼いだとき、お金をくれた相手は満足していたか。 お金の移動に喜びが伴ってこそ、道理に合っていると言える。 より多くの人の喜びを生み出すことができれば、それに伴ってお金がついてくる。 |