読み方「しょうじん かんきょして ふぜんを なし、いたらざる ところ なし」 (意味)低レベルの人間は誰も見ていないと、とりとめなく欲望のままに動く。
「君子は必ずその独りを慎むなり」 読み方「くんしは かならず その ひとりを つつしむなり」 (意味)徳のそなわった者は、誰も見ていなくても慎んで不善を為さない。 → 自分をごまかせば、己だけはそんな軽蔑すべき自分を知っている。 人が見ているか見ていないかは関係がない。 正しい判断基準をもち、その通りに判断して行動しているか。
「十目の視る所、十手の指す所、それ厳なるか」 読み方「じゅうもくの みる ところ、じっしゅの ゆびさす ところ、それ げんなるか」 (意味)多くの人の判断や評価は、厳しくてごまかすことはできない。 → 一般大衆は、意外とモノやヒトを見る目をもっているものだ。 売れない原因は相手にあるのではなく自分にある。 部下が馬鹿なのではなく、部下をリードできない自分に問題がある。
「富は屋を潤し、徳は身を潤す。心広く体胖かなりと」 読み方「とみは おくを うるおし、とくは みを うるおす。こころ ひろく たいゆたかなりと」 (意味)富めば家屋が美しくなるように、徳が身につけばその身は美しくなる。心は広く、身はゆったりした感じとなるのだ。 → お金持ちでも心の中は常に苦しんでいる人がいる。人生、それでよいのか。 家屋が美しいうえに、心も広くゆったりした人生を送りたい。 そのためには、不断の努力で自分を磨いていくしかない。
「身に忿ちする所あれば、則ちその正を得ず」 読み方「みに ふんちする ところ あれば、すなわち その せいを えず」 (意味)もし怒りが湧いて体が熱くなっていれば、心は正しい状態ではない。 → 短気は損気。カーッとなった状態で判断を下してはいけない。 その他、恐怖や悦楽や心配などの感情に振り回されると、判断が狂う。 常に「もう一人の冷静な自分」を心の中に養い、彼に判断させよう。
「心焉に在らざれば、視れども見えず、聴けども聞こえず、食えどもその味わいを知らず」 読み方「こころ ここに あらざれば、みれども みえず、きけども きこえず、くらえども その あじわいを しらず」 (意味)心を感情に支配されてしまうと、視ても見えず、聴いても聞こえず、食べても味がわからないということになる。 → リーダーがこのようになっては、その集団は終わりだ。 リーダーは喜怒哀楽の感情と共に、冷静な自己を心に置くこと。 そのためには、日頃からの訓練が必要不可欠である。
「人その親愛する所に之いて辟す。その賤悪する所に之いて辟す」 読み方「ひと その しんあいする ところに ゆいて へきす。その せんおするところに ゆいて へきす」 (意味)人は親愛する(家族などの)人に対しては愛に溺れ、賤しみにくむ人に対しては度が過ぎて冷たい仕打ちをしがちだ。 → 人の好き嫌いはあるものだが、リーダーが部下をえこひいきしては組織はうまくいかない。 しかし、いつの間にか偏ってしまう。よって、自己の点検が大切だ。 付き合いの長さ、利害関係の有無などで見方が偏っていないか。
「好みてその悪を知り、悪みてその美を知る者は天下に鮮なし」 読み方「このみて その あくを しり、にくみて その びを しる ものは てんかにすくなし」 (意味)好きな人の短所を知り、嫌いな人の長所を知っているという人は、ほとんどいない。 → 他のことは冷静に判断できても、対人関係には感情が入りやすい。 優秀なリーダーは、一人ではたいしたことが出来ないと知っている。 嫌いな人の長所を生かせるかがポイント。
「康誥に曰く、赤子を保つがごとしと。心誠にこれを求むれば、中らずと雖も遠からず」 読み方「こうこうに いわく、せきしを たもつが ごとしと。こころ まことにこれを もとむれば、あたらずと いえども とおからず」 (意味)康誥(『書経』周書の一)に人君が国民を愛するとは、母親が赤ん坊を大切にするようにしなさいとある。母親が心から赤ん坊のニーズを求めれば、あたらずといえども遠からずで、だいたい何を求めているか(おなかがすいたか、おしめがよごれたか等)わかるものだ。 → 母親が赤ん坊を大切にするように、真剣に相手のニーズを考えよう。 部下のニーズもお客のニーズも考えればだいたいわかるはず。 わからないのは中途半端だから。
「一言事をやぶり、一人国を定む」 読み方「いちげん ことを やぶり、いちにん くにを さだむ」 (意味)たったひと言で物事をダメにできるし、たった一人の優れた人物で国は安定させられる。 → 会社や家の中がうまくいかないのは、たった一人の優れた人物がいないから。 その「たった一人」を他人に求めるか、自分に求めるか。 人生は一度きり。人に頼って一生を終えるのは寂しい。 |