ハマモト経営の指針集 『大学』より

参考図書『大学』宇野哲人全訳注 講談社学術文庫
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「小人間居して不善を為し、至らざる所無し」

読み方「しょうじん かんきょして ふぜんを なし、いたらざる ところ なし」

(意味)低レベルの人間は誰も見ていないと、とりとめなく欲望のままに動く。

→ 自分にとって最大最強の敵は、自分自身である。

自分の欲望は何か?己を知っているか?

真の主体性の確立とは、逃げたい自分と戦うことだ。

 

「君子は必ずその独りを慎むなり」

読み方「くんしは かならず その ひとりを つつしむなり」

(意味)徳のそなわった者は、誰も見ていなくても慎んで不善を為さない。

→ 自分をごまかせば、己だけはそんな軽蔑すべき自分を知っている。

人が見ているか見ていないかは関係がない。

正しい判断基準をもち、その通りに判断して行動しているか。

「十目の視る所、十手の指す所、それ厳なるか」

読み方「じゅうもくの みる ところ、じっしゅの ゆびさす ところ、それ げんなるか」

(意味)多くの人の判断や評価は、厳しくてごまかすことはできない。

→ 一般大衆は、意外とモノやヒトを見る目をもっているものだ。

売れない原因は相手にあるのではなく自分にある。

部下が馬鹿なのではなく、部下をリードできない自分に問題がある。

「富は屋を潤し、徳は身を潤す。心広く体胖かなりと」

読み方「とみは おくを うるおし、とくは みを うるおす。こころ ひろく たいゆたかなりと」

(意味)富めば家屋が美しくなるように、徳が身につけばその身は美しくなる。心は広く、身はゆったりした感じとなるのだ。

→ お金持ちでも心の中は常に苦しんでいる人がいる。人生、それでよいのか。

家屋が美しいうえに、心も広くゆったりした人生を送りたい。

そのためには、不断の努力で自分を磨いていくしかない。

「身に忿ちする所あれば、則ちその正を得ず」

読み方「みに ふんちする ところ あれば、すなわち その せいを えず」

(意味)もし怒りが湧いて体が熱くなっていれば、心は正しい状態ではない。

→ 短気は損気。カーッとなった状態で判断を下してはいけない。

その他、恐怖や悦楽や心配などの感情に振り回されると、判断が狂う。

常に「もう一人の冷静な自分」を心の中に養い、彼に判断させよう。

「心焉に在らざれば、視れども見えず、聴けども聞こえず、食えどもその味わいを知らず」

読み方「こころ ここに あらざれば、みれども みえず、きけども きこえず、くらえども その あじわいを しらず」

(意味)心を感情に支配されてしまうと、視ても見えず、聴いても聞こえず、食べても味がわからないということになる。

→ リーダーがこのようになっては、その集団は終わりだ。

リーダーは喜怒哀楽の感情と共に、冷静な自己を心に置くこと。

そのためには、日頃からの訓練が必要不可欠である。

「人その親愛する所に之いて辟す。その賤悪する所に之いて辟す」

読み方「ひと その しんあいする ところに ゆいて へきす。その せんおするところに ゆいて へきす」

(意味)人は親愛する(家族などの)人に対しては愛に溺れ、賤しみにくむ人に対しては度が過ぎて冷たい仕打ちをしがちだ。

→ 人の好き嫌いはあるものだが、リーダーが部下をえこひいきしては組織はうまくいかない。

しかし、いつの間にか偏ってしまう。よって、自己の点検が大切だ。

付き合いの長さ、利害関係の有無などで見方が偏っていないか。

「好みてその悪を知り、悪みてその美を知る者は天下に鮮なし」

読み方「このみて その あくを しり、にくみて その びを しる ものは てんかにすくなし」

(意味)好きな人の短所を知り、嫌いな人の長所を知っているという人は、ほとんどいない。

→ 他のことは冷静に判断できても、対人関係には感情が入りやすい。

優秀なリーダーは、一人ではたいしたことが出来ないと知っている。

嫌いな人の長所を生かせるかがポイント。

「康誥に曰く、赤子を保つがごとしと。心誠にこれを求むれば、中らずと雖も遠からず」

読み方「こうこうに いわく、せきしを たもつが ごとしと。こころ まことにこれを もとむれば、あたらずと いえども とおからず」

(意味)康誥(『書経』周書の一)に人君が国民を愛するとは、母親が赤ん坊を大切にするようにしなさいとある。母親が心から赤ん坊のニーズを求めれば、あたらずといえども遠からずで、だいたい何を求めているか(おなかがすいたか、おしめがよごれたか等)わかるものだ。

→ 母親が赤ん坊を大切にするように、真剣に相手のニーズを考えよう。

部下のニーズもお客のニーズも考えればだいたいわかるはず。

わからないのは中途半端だから。

「一言事をやぶり、一人国を定む」

読み方「いちげん ことを やぶり、いちにん くにを さだむ」

(意味)たったひと言で物事をダメにできるし、たった一人の優れた人物で国は安定させられる。

→ 会社や家の中がうまくいかないのは、たった一人の優れた人物がいないから。

その「たった一人」を他人に求めるか、自分に求めるか。

人生は一度きり。人に頼って一生を終えるのは寂しい。

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