参考図書『中庸』宇野哲人全訳注 講談社学術文庫
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「曲を致す。曲能く誠あり」 読み方「きょくを いたす。きょく よくまこと あり」 (意味)徳の中の一部分(仁のみ、義のみなど)を極めてみる。一部分にも誠がある。 → 凡人にはあれもこれもできない。 ならば、一部分だけを徹底的に極めてみよう。 一点を突破すれば、全面展開できる。
「誠あれば則ち形る」 読み方「まこと あれば すなわちあらわる」 (意味)本当に心の中に誠があれば、自然に外にあらわれる。 → 目に見えるか、見えないかが評価基準。 自分が「私は変わった」といくら言っても、独り善がり。 「あなたは変わった」と言われてこそ、本当に革新している。
「形るれば則ち著しく、著しければ則ち明らかに、明らかなれば則ち動かしむ」 読み方「あらわるれば すなわちいちじるしく、いちじるしければ すなわちあきらかに、あきらかなれば すなわちうごかしむ」 (意味)(誠が)自然に外にあらわれれば、いよいよいちじるしくなり、いちじるしくなれば明らかになり、明らかになれば人の心を動かすことになる。 → 誠心誠意が結局は人を動かすことになる。 人は動かそうと思っても、動くものではない。 誠が現れた自らの行動こそが、他の人の心をうち、人を変える。 「動けば則ち変じ、変ずれば則ち化す」 読み方「うごけば すなわちへんじ、へんずれば すなわち かす」 (意味)人の心動けば、それに従って善に変わり、時間が経てば前の状態も忘れてしまう。 → 心が動くことで、人は変わる。 「変わらない」のは、心が動いていない証拠。 心を動かすためには、職場に「感動」が必要だ。
「誠は物の終始、誠ならざれば物無し」 読み方「まことは もののしゅうし、まこと ならざれば もの なし」 (意味)誠は万事万物の根本であり、誠でなければ物も無い。 → 誠(嘘いつわりの無い正しい心=天の法則)が無ければ、人の発展も無い。 事業も、社会貢献という誠が無ければ発展しない。 急成長している会社は誠があるが、自分自身に問い直すことが必要。
「君子徳性を尊んで問学に道る」 読み方「くんし とくせいを たっとんで もんがくに よる」 (意味)徳の高い人物は、天より受けた徳を大切にしつつ、学問により知識をも習得する。 → もともと持っている美徳に、学んだ知識を加える。 事業も会社の本来の強みを、新しい知識によってさらに磨いていく。 本来の強みは、1〜2個程度に絞られる。それは何か?
「広大を致して精微を尽くす」 読み方「こうだいを いたして せいびを つくす」 (意味)広く大きく視野を広げて取り組むとともに、細かい部分にも手を抜くことがない。 → 専門家意識はよくない。自ら価値ある情報を遮断してしまう。 己を空しくして心を外の世界に開くこと。 かつ、あることに取り組んだら徹底的に細部まで極めること。
「高明を極めて中庸に道る」 読み方「こうめいを きわめて ちゅうように よる」 (意味)高いレベルで明らかさを極め、日常的には中庸によりバランスを保つ。 → 徹底的に自らの道を極めると共に、日常生活では中庸を心がける。 極みに至っても、瞬時に対象のレベルに合わすことができるのだ。 故に本当にレベルの高い人物は、平凡な人物に見える。
「故を温ねて新しきを知る」 読み方「ふるきを たずねて あたらしきを しる」 (意味)以前学んだことを時に復習すると共に、まったく新しい知識も得るようにする。 → 学んでは忘れ果て、身につかないでいることがないか。 身につかない知識はただ邪魔になるだけである。 学んだ知識は行動に現して、頭から追い出そう。そしてまた、新しい知識をインプットする。 「厚を敦うしてもって礼を崇ぶ」 読み方「あつきを あつうして もって れいを たっとぶ」 (意味)生まれもった素質はますます厚くし、かつ礼儀を崇んで修飾する。 → 天性の素質と、教育で学ぶことを両方大切にする。 どちらかに偏るとうまくいかない。 己の個性を磨き、時代に合うように飾れば、必ずヒットする。
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