参考図書『中庸』宇野哲人全訳注 講談社学術文庫
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読み方「ち じん ゆうの みつの ものはてんかの たつとくなり」 (意味)知識・智恵(物事の道理)、自己統制・思いやり、正しいことを行う勇気は、天下の古今変わらぬすぐれた徳である。 → 現代の教育は、この中の知識(特に暗記)にばかり偏っている。 自分の頭で考えること、相手の立場に立つこと、実践する勇気の教育はほとんど無い。 今それらの教育ができるのは、現実と戦っている企業等だけである。 「学を好むは知に近し」 読み方「がくを このむは ちにちかし」 (意味)学ぶことを好んで嫌がらないのは、知ではないが知に近い。 → 書物や体験から学ぶことを好んでいれば、物事の道理を知ることに近づく。 学ぶ人は成長する。 社員全員が学んでいれば、会社が成長する。
「力行は仁に近し」 読み方「りきこうは じんに ちかし」 (意味)力一杯頑張って怠らずに行うのは、自己統制・思いやりに近い。 → キチンとやり続けることは、自己管理となり、自己を管理できれば思いやりが生まれる。 自己管理の困難さを知ると、他人にやさしくなれる。 だから「やると決めたことはとことんやれ」と言う。
「恥を知るは勇に近し」 読み方「はじを しるは ゆうにちかし」 (意味)人に劣っていることを恥じることで発奮するのは、勇に近い。 → 現状をきちんと把握すれば、やる気が出てくる。 「まだ自分はこの程度か」と知ることで、不足分がわかるからだ。 現状を見つめることは勇気がいる。目をそむけずに見てみよう。
「この三者を知れば、則ち身を修むる所以を知る」 読み方「この さんしゃをしれば、すなわち みを おさむる ゆえんをしる」 (意味)この三者(知・仁・勇)を知って行えば、自分自身の言動を正しくする方法を知ることができる。 → 知って行うことが大事。 知・仁・勇の意味を百回となえてもダメ。 やってみて、しかもやり続けて初めて、本当の意味を知る。
「身を修むる所以を知れば、則ち人を治むる所以を知る」 読み方「みを おさむる ゆえんをしれば、すなわち ひとを おさむる ゆえんをしる」 (意味)自分自身の言動を正しくする方法を知ることができれば、他人を治めることができる。 → まず自分を修めてから、他人を治める。 結局、組織はリーダーにかかってくる。 部下のせいにし続けて一生を終わる人も少なくない。いつ気付くのか。
「人を修むる所以を知れば、則ち天下国家を治むる所以を知る」 読み方「ひとを おさむる ゆえんをしれば、すなわち てんかこっかを おさむるゆえんを しる」 (意味)他人を治めることができれば、天下国家を治めることができる。 → 身近な他人を治めることができれば、集団を治められる。 身近な他人とは、家族のこと。 家族も社員も同じ人間。治める方法は同じ。
「身を修むれば則ち道立つ」 読み方「みを おさむれば すなわちみち たつ」 (意味)自分自身の言動を正しくできれば、模範としての道が明らかとなる。 → トップ自身の言動が正しくなれば、社員の模範となり、あるべき姿がハッキリする。 このことは、どんな人事制度にも勝るのだ。 社員に模範の姿が見えることが、教育上最も効果的である。
「賢を尊べば則ち惑わず」 読み方「けんを たっとべば すなわちまどわず」 (意味)賢者を尊んで師友とすれば、惑うことがない。 → 誰を師とし、誰を友とするか。 人間的に自分よりも優れた人間を師と仰ぎ、友とする。 それによって常にあるべき姿を身近におき、自己を鍛練し向上する。
「親を親しめば則ち諸父昆弟怨みず」 読み方「しんを したしめば すなわちしょふ こんてい うらみず」 (意味)親族に親しめば、親戚の叔父や兄弟やいとこなどが君主を怨むことがない。 → 中小企業は同族会社が多い。 同族であるが故の問題が多々発生する。 公私混同を避け、私の部分でよく親しむことが肝要。
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