ハマモト経営の指針集 『中庸』より

参考図書『中庸』宇野哲人全訳注 講談社学術文庫
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「君子は中庸をす。小人は中庸に反す」

読み方「くんしは ちゅうようを す。しょうじんは ちゅうように はんす」

(意味)徳行の備わった人は偏らず恒に変わらない徳を身につけているが、徳の無い小人物は中庸に反している。

→ 君子となったリーダーは、信頼できる。

そのときの感情によってコロコロと変わることは無いからだ。

信頼できるリーダーがいれば、組織は一つにまとまる。
 


「君子の中庸は、君子にして時中す」

読み方「くんしの ちゅうようは くんしに して じちゅうす」

(意味)徳行の備わった人の中庸は、君子の徳の故にその時に応じてバランスを保つことができるのだ。

→ 君子となったリーダーは、臨機応変ができる。

杓子定規に一つの考えを万事に当てはめることなどはしない。

例えば教育をする場合、相手によって教え方を変えるし、言葉も変える。


小人の中庸は、小人にして忌憚なきなり

読み方「しょうじんの ちゅうようは、しょうじんに して きたん なきなり

(意味)徳の無い小人物が中庸に反するのは、徳が無い故に自分の欲望のままに行動するからだ。

→ よって、己の欲望を知ることこそ己を知ることなのだ。

金銭、名誉、性欲、酒、賭博など、欲が現れる分野は決まっている。

自分はどの欲望が人よりも強いのか、知っている者は己に克てる。


 

「中庸はそれ至れるかな。民能くする鮮なきこと久し」

読み方「ちゅうようは それ いたれるかな。たみ よくする すくなき こと ひさし」

(意味)中庸の徳は最高のものである。民の中でよくこの徳を行うものが少なくなって長い年月が経っている。

→ 新入社員研修で最高の内容を教えるが、社員の中でできるものが少ない。

基礎、基本と言われる内容は、奥が深い。

凡事徹底ができる会社は、伸びる。


「道の行われざるや、我これを知る。知者はこれに過ぎ、愚者は及ばざるなり」

読み方「みちの おこなわれざるや、われ これを しる。ちしゃは これに すぎ、ぐしゃはおよばざるなり」

(意味)人の道が行われない理由を私は知っている。知者は知識ばかりを詰め込んで行わず、愚者は知識が不足し人の道を知らないからである。

→ 知行合一というのは、言うは安く行うは難しである。

知ったこと、学んだことはすぐに実践しなければならない。

実践の無い知識は、頭の中で腐り悪臭を放つ。



「道の明らかならざるや、我これを知る。賢者はこれに過ぎ、不肖者は及ばざるなり」

読み方「みちの あきらかならざるや、われ これを しる。けんしゃは これにすぎ、ふしょうしゃは およばざるなり」

(意味)人の道が明らかにならない理由を私は知っている。賢者は普通の人ができるレベルを超えており、愚かな者は通常のレベルに及ばず、意識も無いからだ。

→ 企業内も、でき過ぎる人とできない人にわかれてしまう。

ほどほどにできる人こそ他の人に勇気を与える。

できるようになる過程が明確になれば、すべての人に道が開かれる。


「舜は問うことを好んで邇言を察することを好む」

読み方「しゅんは とう ことを このんで じげんを さっする ことを このむ」

(意味)舜(中国古代の明主)は、人に質問することが好きで、つまらない言葉の奥にある真意を察することを好んだ。

→ 自分の周囲の人に質問し、その答えから学ぶ姿勢があるか。

自分は高級、相手は低級とバカにすると、情報が入ってこなくなる。

松下幸之助氏はいつも「あんたどう思う?」と質問していたそうだ。


「悪を隠して善を揚げ、その両端を執って、その中を民に用ゆ」

読み方「あくを かくして ぜんを あげ、その りょうたんを とって、その ちゅうをたみに もちゆ」

(意味)(舜は、)意見の中に悪があれば表にあらわれないようにして善の部分を表に出し、両極端の意見はその中庸を用いて民を治めた。

→ 衆知を集めるとはこういうことである。

どんな意見も腹蔵無く出させ、悪い意見は用いず善い意見は用いる。

対立した意見はその共通点をおさえ、別の新たな角度から一つに統合する。


「人皆予知ありと曰う。駆って諸を罟?陥穽の中に納れてこれを辟くることを知る莫きなり」

読み方「ひと みな われ ち ありと いう。かって これを こかかんせいのうちに いれて これを さくる ことを しる なきなり」

(意味)人々はみんな私は智恵があるという。しかし、獣を駆り立ててそれを捕える網や落とし穴に追い込んでも避けることができないような(未然に問題を防ぐことができない)ものだ。

→ 失敗したのは、運が悪かったのか?

トップがそう考えるようでは、その組織の将来は目に見えている。

失敗すべくして失敗したのだ。その原因追求をして、再発防止に努めねばならぬ。


「人皆予知ありと曰う。中庸を択んで期月も守ること能わざるなり」

読み方「ひと みな われ ち ありと いう。ちゅうようを えらんで きげつもまもる こと あたわざるなり」

(意味)人々はみんな私は智恵があるという。しかし、中庸の徳を選択しても丸一ヶ月も守ることができない。

→ 多くの人にとって研修受講の効果は一ヶ月も無い。

凡事徹底をできる人は非常に少ない。

ささいなことでも、決めたことを毎日きちんと持続して実践することこそ、最重要事項なのだが。



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